ヴェローナ Verona

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オペラ会場となる円形闘技場 (Arena di Verona)
オペラ会場となる円形闘技場 (Arena di Verona)

 ヴェローナ (Verona)は、ヴェネト州西部にあるヴェローナ県の県都。

 

 中心部には古代ローマ時代の円形競技場跡がある。中世の町並みが残り、2000年に「ヴェローナ市街」がユネスコの世界遺産に登録された。

 

【アクセス】

 西のミラノと東のヴェネツィアのちょうど半ばにある大きな街で、ミラノからは急行なら1時間半ほどで着きます。駅は南端にあり、街の旧市街地に行くにはバスに乗ることをお勧めします。

 

 また、街の東端の川に面した聖フェルモ・マッジョーレ聖堂に行く場合や、西端にある聖ゼノ・マッジョーレ聖堂は旧市街地の中心部からは結構離れていますので、バスを利用することになります。バス路線は充実しています。なお、地下鉄や路面電車はありません。

 

 街の旧市街地にある名所旧跡は歩いて回れますが、路がやや複雑で、見通しも悪いので、スマホや地図で場所を確認しながら進むことになります。

ジュリエット像
ジュリエット像

【歴史】

 ヴェローナは古くから北からアルプス越えをしてイタリアに入り、ジェノヴァやローマに向かう人々の中心となる街で、交通の要所として繁栄してきました。アディージェ川(Adige)に三方を囲まれており、天然の要塞の観を呈しています。

 

 ローマ帝国時代には既に街として栄えており、その遺跡である円形闘技場(Arena)は現在でも屋外オペラ劇の会場として利用されています。特に夏は大盛況となります。

 

【観光】

 また、ヴェローナの街は、シェイクスピアの劇では、「ヴェローナの2人の紳士」(Two Gentlemen of Verona)と「ロミオとジュリエット」(Romeo and Juliet)と「じゃじゃ馬馴らし」(The Taming of the Shrew)の3作品で取り上げられていますが、特に「ロミオとジュリエット」の街として有名になっていますので、ジュリエットの家は常に大勢の観光客が訪れています。

 

 なお、ヴェローナの主要な4か所の聖堂(ドゥオーモ、サンタアナスタシア、サンフェルモ・マッジョーレ、サンゼノ・マッジョーレ)に入るには拝観料が必要となります。一か所ごとに支払うより割安になっている4聖堂の割引入場券がありますので、最初に訪れた聖堂で購入することをお勧めします。

 

4つの聖堂の共同Webサイト「Verona and the Historical Churches」← こちらに詳細情報が掲載されています。

 

 宿は市内に多くありますので、駅前より旧市街の中心部に取ると観光には便利です。

1. Duomo 大聖堂 (Cattedrale di Santa Maria Assunta)

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 旧市街の一番北端に位置し、裏手はアディージェ(Adige)川になります。正面入り口は白く輝く大理石製で、当時2大巨匠と呼ばれたニコーロ (Nicolo)作のロマネスク様式の聖堂です。

 

 なお、この街の西端にある聖ゼノ・マッジョーレ聖堂 (San Zeno Maggiore)の入口も同じ人物の作と言われています。1117年の地震で大損害をこうむり、20年以上の歳月を掛けて修復されています。

 

 現在聖堂への入口となっている東南側の入り口もその時代に造られました。

 

 正面の柱廊玄関の円柱は2頭のライオンが支え、ティンパヌムには中央に聖母子が、左に「牧童に降誕を知らせる天使」、右側には「3人のマギの礼拝」の浮彫が見えます。

 

 左右の側柱にはクレモナの大聖堂 (Cattedrale di Santa Maria Assunta)に見られるような、聖人の浮彫がそれぞれ5人ずつなされています (リンクをクリックすると新しいタブで開きます)。両脇上には洗礼者ヨハネと福音書記者ヨハネ像が見えます。

 


 

 脇の鐘楼は16世紀に付け加えられましたが、未完成とされています。

 

 内部は三廊式の大きな聖堂で、ヴェローナ産の赤い大理石の柱が眼を引きます。両脇には各4か所に礼拝堂があり、見事なフレスコ画が飾られています。

 

 

 内陣は半円形のコロナードになっており、その上に両脇に聖母と聖ヨハネ(一説に聖ヤコブ)を配したキリストの磔刑像が置かれています。

 

 凱旋門アーチには預言者イザイア(Isaiah)とエゼキエル(Ezekiel)が、その上の薔薇窓の脇には「受胎告知」が描かれています。

 

 穹窿の両脇には「聖母の生誕」と「神殿奉献」が描かれ、アプシス上の天蓋には16世紀半ばのトルビード (Francesco Torbido)作「聖母被昇天」が、使徒の見守る中、聖堂の天井を突き抜けて天に召されるような状況で描かれています。

 

 

 

 

 

 

 

公式WebサイトThe Cathedral Complex」には、内部の写真と開館時間が掲載されています。

 

 また、「ヴァーチャルツアー」では、右上のレイアウト図をクリックして見たい場所をクリックすることで、すべての礼拝堂、主祭壇等を見ることができます。

2. San Bernardino 聖ベルナルディーノ聖堂

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 駅から北に向かい運河を渡り、街中に入るローマ帝国時代のパリオ門 (Porta Palio)を通ってパリオ通り(Stradone Porta Palio)を進み一本目のサッフィ通り(Via Aurelio Saffi)に左折して、進むと右手に鐘楼が見えてきます。

 

 

 

 

 周囲には高い建物は無く、聖堂がひと際大きく高い鐘楼を伴っていますので、直ぐに分かります。

 

 なお、そのまま道なりに進むと、通りの名前がルイージ・レノッティ通り(Via Luigi Lenotti)、そしてポッツァ広場(Piazza Pozza)と変わり、聖ゼノ・マッジョーレ聖堂 (San Zeno Maggiore) 前の広場 (Piazza San Zeno)に出ます。

聖堂正面 (Wikimedia Commonsより)
聖堂正面 (Wikimedia Commonsより)

 

 ヴェローナでは、ルネサンス芸術は他の都市と比較して、遅くなってから開花しましたが、この聖堂は聖ベルナルディーノが1444年に死去した後、1451年から1466年に掛けて、ゴティック様式で建設されています。聖フランチェスコ派の大きな聖堂で、ひと際高い鐘楼が目立ちます。

聖堂内部 (Wikimedia Commonsより)
聖堂内部 (Wikimedia Commonsより)

 

 内部は単廊式で、東側のみに礼拝堂が並び、フレスコ画で飾られています。

ペレグリーニ礼拝堂 (Cappella Pellegrini)のドーム (Wikimedia Commonsより)
ペレグリーニ礼拝堂 (Cappella Pellegrini)のドーム (Wikimedia Commonsより)

 

 北端の16世紀半ばにミケーリ(Michele Sanmicheli)が造ったペレグリーニ礼拝堂 (Cappella Pellegrini) は、一つだけ円形で特別の存在感を示しています。

 

 

 

 

 なお、マントヴァの聖フランチェスコ聖堂 (San Francesco)モデナの聖フランチェスコ聖堂パヴィアの聖フランチェスコ・マッジョーレ聖堂の外観と比較するとその類似性が見られます(リンクをクリックすると新しいタブで開きます)

3. San Fermo Maggiore 聖フェルモ・マッジョーレ聖堂

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 旧市街の東端に位置し、ローマ帝国時代にあったライオン門(Porta Leoni)を出て、ナヴィ橋 (Ponte Navi)の右手前にあり、聖フェルモ大通り(Stradone S.Feromo)に面した大きな聖堂です。

 少々離れた場所にありますので、バス等の交通手段を利用することをお勧めします。バス停は聖堂の前にあります。

 

 聖フェルモ(San Fermo)と聖ラスティコ(San Rustico)が304年に拷問の末に殉教した場所に、5世紀になって建設されました。

 

 10世紀後半に、ベネディクト派により、初期聖堂の跡に聖遺物を祀るために地下聖堂を造り、その上部を礼拝堂としてロマネスク様式で建設されました。

 

 13世紀になり、フランシスコ派に移ってから、上部を現在のゴティック様式で建設していますので、二通りの様式が併存する形で見られます。

 

 アプシスからの外観は見上げるばかりの鐘楼が目立ちますが、正面入口はロマネスク様式で、全く印象が異なります。

 

 入口は柱廊玄関の中の階段を登って入ることになります。柱廊の脇には4連式のアーチ型窓がシンメトリーで並び、上部中心に4本の細い窓があり、更にその上に3連式の小アーチ型窓とその脇に薔薇窓が並びます。表面は白い石灰岩と赤い煉瓦で見事な縞模様を成しています。

 

 聖堂内部は単廊式で、右側に聖ベルナルド(Bernardo)礼拝堂があり、マルティーノ(Martino da Verona)作のフレスコ画が、左側の聖母礼拝堂にはジョヴァンニ(Giovanni Ceschini)作、聖母被昇天の絵を見ることができます。

 

 内陣は半円形のコロナードアプシス奥には殉教した両聖人が祀られています。

 

 

 多くのキリストの磔刑図のフレスコ画を見ることができますが、その他にも、聖フランシスコに関連したフレスコ画等があります。

 

 広い地下聖堂はラテン十字式で、初期聖堂の形態を残しています。

 

 柱には「キリストの洗礼」「聖母子像」の他、12世紀初頭に描かれたフレスコ画が残っており、中央祭壇には14世紀制作の木製のキリストの磔刑像が見られます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

公式WebサイトThe Church of Saint Fermo」には、内部の写真と開館時間が掲載されています。

 

 また、「ヴァーチャルツアー」では、右上のレイアウト図をクリックして見たい場所をクリックすることで、主祭壇はじめ、すべての礼拝堂等を見ることができます(Duomoのツアーに比べて若干動作が不安定です)

4. San Giorgetto 聖ジョルジェット聖堂

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左:聖ジョルジェット聖堂、右:聖アナスタシア聖堂
左:聖ジョルジェット聖堂、右:聖アナスタシア聖堂

 聖アナスタシア聖堂 (Santa Anastasia)前の同名の広場 (Piazza S. Anastasia)の脇に建つ13世紀後半から14世紀初頭に建設された、ロマネスク様式の聖堂です。

 

 聖ジョルジェット・ドメニコ (San Giorgetto Domenico) は15世紀に聖ペテロ殉教者と見なされたため、この聖堂は聖ペトロ殉教者聖堂 (San Pietro Martire)とも呼ばれています。

 

 正面の柱廊にはフレスコ画が見られますが、風化しており良くわかりません。

 

 

 現在の入口は脇にあります。

 

 なお隣接して高い所に見える石棺は、1321年のカステルバルコ(Tomba di Castelbarco)の墓と呼ばれています。

 

 

 聖堂内部は単廊式の小さな聖堂です。多くのフレスコ画が残されており、キリストの磔刑図の他にも、マギの礼拝図などが見られます。

 

 

5. San Giorgio in Braida 聖ジョルジョ・インブライダ聖堂

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 旧市街の北端にあるドゥオーモに向かい、手前のガリバルディ通り (Via Giuseppe Garibaldi) からガリバルディ橋(Ponte Garibaldi)でアディージェ(Adige)川を渡ると、右手の公園 (Parco Cesare Lombroso) の奥に、大きな聖堂のドームが見えてきます。川沿いの道を北上することになります。

 

 

 11世紀の半ばに、ベネディクト派の修道院として建設されました。

聖堂正面 (Wikimedia Commonsより)
聖堂正面 (Wikimedia Commonsより)

 

 15世紀にミケーレ(Michele Sanmicheli)により現在のドームと鐘楼が建設されましたが、鐘楼は未完成のままです。ヴェローナでは数少ないロマネスク様式の聖堂です。

 

 

聖堂内部 (Wikimedia Commonsより)
聖堂内部 (Wikimedia Commonsより)

 

内部は単廊式です。

聖ジョージの殉教 (Martirio di San Giorgio) (Wikimedia Commonsより)
聖ジョージの殉教 (Martirio di San Giorgio) (Wikimedia Commonsより)

 

主祭壇の奥には、16世紀のパオロ(Paolo Veronese)作の「聖ジョージの殉教」の絵画が飾られています。

 

 他に多くの絵画が飾られています。

6. San Lorenzo 聖ロレンツォ聖堂

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 旧市街の入口のアディージェ(Adige)川沿いにある、旧城(Castelvecchio)の前のカヴール大通り (Corso Cavour)を北東に向かうと、左側に見えてきます。

 

 大通りからの入口は小さく目立ちませんので、通り過ぎてしまいそうですが、見上げると門の上に聖ロレンツオの立像があります。聖堂の入口には柱廊がありますが、非常に控えめです。

 

 

 6世紀に建設された古い聖堂は、1117年の地震の後に再建されました。

 

 正面入口は左手に回った所にあり、入口の両脇に聳える円筒型の塔はノルマン様式で、城の様ないかつい印象を与える造りとなっています。

 

 ヴェローナにある聖堂の中でも珍しい形状をしています。

 

 聖堂内部は外観と同じく、白い砂岩に赤い煉瓦で縞模様を構成しており、一種独特の雰囲気を醸し出しています。

 

 三廊式ですが身廊の幅が狭く、小さな楚々とした聖堂です。

 

 

 正面アプシスには聖ロレンツオの絵が掲げられています。

 

7. San Zeno Maggiore 聖ゼノ・マッジョーレ聖堂

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 旧市街の入口の川沿いにある、旧城(Castelvecchio)から、アディージェ(Adige)川に沿ってサンゼノ通り(Rigaste San Zeno)を北西に向かうと高い鐘楼が見えてきます。

 聖堂は街の北西に、一か所だけ離れていますので、旧市街からでも駅からでも、バス等の交通機関を利用することをお勧めします。

 

 建物は石灰岩とレンガが縞模様を構成し、脇に聳える鐘楼は72mの高さがあります。正面左に見える塔は元ベネディクト派の修道院の一部です。

 

 

 聖ゼノは362年にヴェローナで最初の司教となった人物で、ヴェローナの守護聖人とされています。この聖堂は1123年から聖ゼノに奉献して建設が始められた、ロマネスク様式の聖堂です。

 

 正面には大きな薔薇窓があり、周囲には人生の上昇下降を表象する像が見えます。下には1138年にニコーロ(Nicolo)作の、ライオンが円柱を支える柱廊があります。

 

 

 

 ティンパヌムには聖ゼノの立像が見えます。

 

 

 入口の両脇には聖書を題材とした浮彫が見えます。向かって左側の一番上の左側にはユダの接吻が、その右側にキリストの磔刑が彫られています。

 

 

 内部は三廊式の大きな聖堂です。

 

 正面入り口の木製の扉の内側には聖書と聖ゼノの生涯を題材とした青銅の浮彫が施されています。向かって左側は主として旧約聖書から、右側はキリストの生涯を題材とした作品が見られます。


 

 内陣は一段と高くなっており、高欄上には聖人立像が並んでいます。

 

 

 

 主祭壇にはマンテーニャ (Andrea Mantegna) 作の「聖母子と聖人」の大きな絵が飾られています。

 

 

 アプシスにはキリストの磔刑のフレスコ画が見えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 周囲はフレスコ画で飾られており、柱頭には想像上の動物が見られます。

 

 地下聖堂には聖ゼノが葬られています。地下聖堂にも独特の表現をした人物像と思われる柱頭飾りが見られます。

 

 

 

公式WebサイトThe Basilica of San Zeno」には、内部の写真と開館時間が掲載されています。

 

 また、「ヴァーチャルツアー」では、右上のレイアウト図をクリックして見たい場所をクリックすることで、主祭壇はじめ、すべての礼拝堂等を見ることができます。

 

8. Santa Anastasia 聖アナスタシア聖堂

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 旧市街の北東に、アディージェ(Adige)川に面して建つ、ゴティック様式のヴェローナで一番大きな聖堂です。

 

 正面には同名の広場 (Piazza S.Anastasia)があります。ドミニコ派により1290年からロマネスク様式で建設が始まり、16世紀に完成しましたが、正面入り口は近年になって修復されています。

 

 中央には薔薇窓がありその脇に片蓋柱が走り、その外側には長い窓が見えます。

 

 ティンパヌムには聖三位一体のフレスコ画が見え、楣石にはキリスト降誕、キリストの磔刑の浮彫が見られます。

 

 

 聖堂は三廊式で、入口を入ると身廊の両脇の柱の下にいる、聖水盤を支える人物像が訪問者を迎えてくれます。

 

 左側の背をかがめた人物は1495年作で、右側の人物はそれから100年後の1591年のオレフィーチェ (Paolo Orefice)作でパスキーノ (Pasquino=イースター)と呼ばれています。

 

 12本のヴェローナ産の赤い大理石柱で支えられた高い天井は、フレスコ画で飾られています。

 

 正面内陣の右側面には14世紀のサンゼノマスター(Second Master of Saint Zeno)作の「最後の晩餐」と左側面には15世紀のジャンボーノ(Giambono)作の「受胎告知」のフレスコ画が見えます。

 

Cavalli礼拝堂 アルティキエッロ作「聖母礼拝」のフレスコ画 (affresco raffigurante l'Adorazione della Vergine, opera di Altichiero)
Cavalli礼拝堂 アルティキエッロ作「聖母礼拝」のフレスコ画 (affresco raffigurante l'Adorazione della Vergine, opera di Altichiero)

 

 正面の右端にあるカヴァッリ(Cavalli)礼拝堂には14世紀のアルティキエッロ(Altichiero) 作のフレスコ画と15世紀のマルティーノ(Martino da Verona)作の「聖母子像」の絵が見られます。

 

 その左のペレグリーニ (Pellegrini) 礼拝堂の外側のアーチを見上げると、15世紀のピサネッロ (Pisanello)作の「龍から乙女を救いに出立する聖ジョージ」のフレスコ画が見えます。

 

 かなり高い所に描かれており良く見えませんが、聖堂側の配慮で、DVDでフレスコ画の詳細が写し出されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 聖堂内には多くのフレスコ画やテラコッタ像が飾られ、あたかも美術館にいるようですが、この「龍から乙女を救いに出立する聖ジョージ」は圧巻ですし、必見です。

 公式WebサイトThe Basilica of Saint Anastasia」には、内部の写真と開館時間が掲載されています。

 

 また、「ヴァーチャルツアー」では、右上のレイアウト図をクリックして見たい場所をクリックすることで、主祭壇はじめ、すべての礼拝堂等を見ることができます。

  

9. Santa Maria Antica サンタマリア・アンティカ聖堂

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 旧市街の中央、エルベ広場 (Piazza Erbe)から北東側に一本入ったシニョーリ広場 (Piazza dei Signori)の一角にあるロマネスク様式の聖堂です。

 

 狭い道の奥にありますし、思ったより小さいので、入口は見過ごしがちです。スマホや地図を片手に探すことになるでしょう。

 

 この聖堂はスカルゲーレ家 (Scalgere)の菩提寺で、代々の当主が埋葬されている由緒ある聖堂ですので、サンタマリア・アンティカ聖堂と呼ばれるよりは、『スカルゲーレ家の廟』(Arche Scaligere)と呼ばれることが多いと思います。

 

 

 正面入り口の上には1329年歿のカングランデ1世 (Cangrande I)の墓が見え、敷地内には始祖のマスティーノ (Mastino=1277年歿) の他、バルトロメオ (Bartolomeo)、ジョヴァンニ (Giovanni) 等の墓が並んでいます。

 

 しかし、見つかりにくい聖堂とは異なり、聖堂を取り囲む外壁の外側から、マスティーノ2世(Mastino II=1351年歿)、カンシニョーリオ(Cansignorio=1375年歿)、の騎馬像を上に飾った、見上げるほどの大きさの墓を見ることができます。人通りも多い道ですが、見上げながら歩くと見つけ易いと思います。

 

 このカンシニョーリオの墓 (Arca di Cansignorio della Sala)は本人が生前に、ボニーノ (Bonino da Campione)に制作させたもので、外側の六ヶ所の壁龕にはゲオルギウス、マルティヌスなどのキリスト教の戦士像が、最上壇の壁龕には二人ずつ対をなす十二使徒が刻まれています。

 

 ゴティック様式を代表する墓としてばかりでなく、細かな装飾を施された芸術品としても貴重な作品です。騎馬像の鎧兜をつぶさに見ると時代背景を反映していることも分かります。

 

 これより前の北イタリアの重要な騎馬像としては、ベルガモ (Bergamo)のサンタマリア・マッジョーレ聖堂 (Santa Maria Maggiore)の入口上の聖アレクサンドロスの騎馬像が挙げられます(リンクをクリックすると新しいタブで開きます)

 

 ところで、街の支配者の銅像や騎馬像をその威力を誇示するように、街の中心にある広場に据えたり、街に入る門の近くに設置する例は多く見られますが、このように埋葬者の騎馬像を墓の上に載せた例は多くはありません。

 


 

 なお、聖堂を取り囲む鉄格子にはスカルゲーレ家の家紋である、花びらの中に階段の模様が描かれています。

 

 

 

 聖堂内部は三廊式で、外の華々しさと異なり、落ち着いた聖堂です。

 

 

 

 

 

 

 

 

公式WebサイトBenvenuti nella chiesa di Santa Maria Antica」の「Gallery」にも写真が掲載されています。

10. Sant'Eufemia 聖エウフェミア聖堂

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 旧市街を北西に向かい、ヴィットリア橋 (Ponte della Vittoria)を渡る一本手前のサン・ミケーレ・アッラ・ポルタ通り(Via San Michele alla Porta)に右折して進むと左手に見えてきます。

 

 12世紀頃には建設されていたと思われるロマネスク様式の聖堂で、薔薇窓が見えますが、正面の入口は修復されたものです。

 

 

 聖堂内部は単廊式で、両脇には多くの絵が掲げられています。14世紀に改修されています。

 

 かまぼこ形穹霳の天井の先の凱旋門アーチには、花束を手にした多くの天使が上昇して行く様子が描かれています。

 

 アプシスには聖エウフェミアが描かれています。

 

 

 

 

11. Santo Stefano 聖ステファノ聖堂

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ピエトラ橋 (Ponte Pietra)
ピエトラ橋 (Ponte Pietra)

 旧市街の北端の門を通り抜けて、ローマ帝国時代からの橋 (Ponte Pietra)を渡り、対岸に出ると直ぐのところにあります。

 

 この小さな聖堂は6世紀に建設された街で一番古い聖堂で、12世紀に現在のドゥオーモができるまでは司教座が置かれていた由緒ある聖堂です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピエトラ橋より聖堂右側面を望む


聖堂正面 (Wikimedia Commonsより)
聖堂正面 (Wikimedia Commonsより)

 

 正面は白い石灰石と赤いレンガが縞模様を成していますが、その模様は独特の表情を示しています。

聖堂内部 (Wikimedia Commonsより)
聖堂内部 (Wikimedia Commonsより)

 

 聖堂内部は三廊式で、16世紀のフレスコ画が多く飾られています。

 

地下聖堂 (Wikimedia Commonsより)
地下聖堂 (Wikimedia Commonsより)

 

 地下聖堂は6世紀からの遺構で、空想動物の柱頭飾りが見られます。