ビエッラ Biella

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市営のケーブルカー
市営のケーブルカー

 ビエッラ (Biella)はピエモント州ビエッラ県の県都。

 アルプスのふもとに位置する織物工業の中心都市。

 

【アクセス】

 トリノからミラノに向かう電車に1時間ほど乗ると、サンティア (Santhia)に到着します。ここで乗り換え、ビエラ・サンパオロ (Biella San Paolo)駅に向かいます。

 

 ミラノから訪問する場合には、トリノに向かい、ノヴァラ (Novara)で始発電車に乗り換え、ビエラ・サンパオロ駅に向かいます。

 駅は町の中心から約2km南に離れています。

 

【歴 史】

 砂金が見つかったことから、ローマ帝国の重要な町となったと言われますが、文献上に出てくるのは826年が初出です。なお、882年にカール大帝が町を司教に与えています。

 

 12世紀からは高級毛織物の産業が発達し、17世紀には絹織物で繁栄し、18世紀の最盛期には工場が200を超え、5,500人以上が繊維産業に従事していました。

 

【町を歩く】

 町は大きく、下町 (Il Piano)と丘の上にある上町 (Biella Piazzo)に分かれています。

 大聖堂や多くの聖堂は下町にありますが、平坦な場所に開けたため近代都市として発展し、大聖堂付近が旧市街の一部を構成しています。

 

 一方の上町には為政者や裕福な商人が住んだために昔の趣を残してます。なお、上町と下町の間には市営のかわいらしいケーブルカーがあり、数分でつないでいます。もちろん自動車道や徒歩で行き来できる道があります。

  旧市街部分と上町は徒歩で回れる距離内にありますが、町全体は広いので、駅から旧市街までは、バスなどの利用をお勧めします。

 

 

【その他の情報】

 「イタリア小都市ガイド Piccole citta' italiane」ビエッラ Biella  洗練された感性と素朴な暮らし

 

 

1. Duomo 大聖堂(Cattedrale di San Stefano)

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 旧市街の中心にあり、前には広いドゥオーモ広場があります。

 

 ビエッラの町に14世紀末にペストが蔓延し、多くの犠牲者が出たことから、病の終焉と鎮魂を祈念して1402年から建設が開始されています。

 司教座がある大聖堂となったのは、1772年になってからです。

 

 18世紀、19世紀に大改修が行われ、回廊と正面がネオゴティックで追加されています。

 

 聖堂前には横一面に広がったポルティコがあり、旧来の聖堂は白壁で覆われていますので、多くの場所で見られる大聖堂とは一見して、趣を異にしています。

 聖堂内は、ラテン十字形の三廊式で、交差部分にドームが載っています。

 

 内陣の絵画はオランダのヤンセン派の影響を受けたネオゴティック様式で、1784年作の「聖母被昇天」は単色で描かれています。

 

 16世紀に描かれた、職人団体の守護聖人のフレスコ画がありますが、例えば、聖オルソは靴職人の、聖エリージョは蹄鉄工の、福者パナチェーアは製糸工の守護聖人とされています。

 

 大聖堂正面から左手に少し離れてゴティック様式の九層建ての高い鐘楼がありますが、これは旧聖ステファノ聖堂の鐘楼でした。頂上には四本の尖塔の他に八角錐が載っています。

 

 二連の窓が並ぶ均整のとれた鐘楼で、52.6mの高さがあります。

 

 なお、現在では司教館となっています。

Duomo di Biella フレスコ画 Wikimedia Commons
Duomo di Biella フレスコ画 Wikimedia Commons

 

左の写真は、Wikimedia Commonsより。

2. Battistero San Giovanni Battista 洗礼者聖ヨハネ洗礼堂

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 ドゥオーモ前の広場から左手に回ると見えてきます。町で一番古い聖堂です。

 

 11世紀の初めにローマ帝政時代の共同墓地の上に建設されています。三層構造で、一番上には採光窓として、小さな矩形の尖塔が載り、上層部分は変形の六面で長方形を構成し、下層部は円柱が四枚の花びらのように集まった形をしています。

 

 一周して、どこから見ても同じように見えます。後に再建されていますが、ロマネスク様式を残しています。

赤煉瓦と粗石が小さな洗礼堂に強烈なインパクトを与えています。

 

 なお、正面の扉口上にはローマ帝政時代の大理石に二人の子供の彫刻が見えます。

 

 

 

 

 内部の写真はこちら↓にあります。

http://plantacentral.wixsite.com/home/italia---biella

3. Oratorio di San Filippo Neri 聖フィリポ・ネリ聖堂

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 下町にある聖堂です。

 

 駅前からのバスで、町の北の端にあたるマルティーリ・デッラ・リベルタ広場 (Piazza Martiri della Liberta)で下車し、聖フィリポ通り (Via San Filippo)を東に向かい、しばらく行くと左手に見えてきます。

 

 狭い道ですが、大きな聖堂ですからすぐに分かります。ドゥオーモの北側に位置しています。

 

 

 1789年に建設された新しい聖堂で、正面は入口が一つで方形の柱が両脇を固め、イオニア式の柱頭飾りがある、ネオ・クラシック様式です。

 

 トリノにある聖フィリポ・ネリ聖堂を模倣したといわれていますが、トリノの大きさとは比較になりません。

 

 聖堂内は三廊式で、全ての柱は金で縁取りされた紅色の帯で天井から覆われており、両脇に並ぶ礼拝所も凝った造りで、対抗宗教改革派のまことに華やかな造りです。

 

 中央主祭壇には雲間の聖母子を見上げる聖人を両脇から支える天使の絵が飾られています。

 

 

 内陣の右手にオルガンがあります。

 

 身廊の右手の中央に説教壇が見られるのも、この派の特徴です。

 

 

 

 

 公式サイトには開館時間等が記載されています。

 http://www.oratoriosanfilippobiella.it/attivita/

 伊語ですが、Google翻訳でご覧ください。

 

4. Chiesa di San Giacomo 聖ジャコモ聖堂

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 上の町の中心部には旧市庁舎や16世紀に法廷だった館 (Palazzo Gromo)のあるチズテルナ広場 (Piazza Cisterna)がありますが、その南端で城に向かう途中に位置しています。

 レストラン「Ristorante San Giacomo」の隣にあります。

 

 1227年の建設で、その後修復を重ねてきました。聖堂の正面はゴティック様式で、一か所の扉口はポルティコで前に突き出ています。

 

 切妻屋根の上の尖塔は14世紀に追加されたものです。扉口の上には丸窓があり、右手にも一回り小さな丸窓がありますが、左側には鐘楼が接続しており、左右対称形にはなっていません。

 

 鐘楼は五層で二連式の窓がありますが、高さはありません。

 

 聖堂内は三廊式ですが、19世紀になって拡張されたものです。外観が左右対称でないのも後の追加だからです。

 

 中央祭壇の木製の十字架と聖ジャコモの殉教画は18世紀の作。聖母被昇天は15世紀の作品です。右側廊には聖遺物が安置されています。

5. Parrocchia San Paolo 聖パオロ聖堂

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 下町にあります。

 

 駅の正面のローマ通り (Viale Roma)を進み、トレント通り (Via Trento)に右折して10分ほど歩くとザラ通り (Via Zara)との交差点の右手前に高い鐘楼が見えてきます。大きな聖堂です。

 

 なお、ローマ通りと交差する通りは、トレント通りの次がトリエステ通り (Via Trieste)で、その次がトリノ通り (Via Torino)と似た名前の通りが並んでいます。

 

 ロータリーをトリノ通りに右折して直進し、ズマリーニ庭園 (Giardino Pubblico Zumaglini)の前のベルトダノ通り (Via Bertodano)を渡るとイタリア通り (Via Italia)となり、旧市街に入っていくことになります。旧市街に行くにはバスの利用をお勧めします。

 

 聖堂の正面は赤煉瓦造りでロマネスク・ゴティック様式を模していますが、20世紀に建設された新しい聖堂です。

 

 

 

 中央扉口上のティンパヌムには天使に矜持された玉座のキリストが描かれています。

 

 

 聖堂内は三廊式で中央主祭壇にはキボリウムがあり、アプシスのステンドグラスから光が差し込んでいます。

 

 

 

 両脇の赤煉瓦の束ね柱が高い穹窿状の天井を支え、コリント式の柱頭飾りもありますので、ゴティック様式の聖堂のように見えます。

6. Basilica di San Sebastiano 聖セバスティアーノ聖堂

 

 駅前から旧市街行のバスでピエトロ・ミッカ通り (Pietro Micca)のアレッサンドロ・ラマルモーラ広場 (Piazza Alessandro Lamarmora)で下車し、西へ向かうアゴスティーノ・デ・ファンゴ通り (Via Agostino Fango)を100mほど進むと右手にあります。

 

 大きな聖堂で修道院を兼ねていました。

 

 16世紀初頭から半ばにかけて、堂々としたルネサンス様式で建設されています。正面は1885年に改修されていますが、当初の建設を踏襲しています。

 

 扉口上のティンパヌムには聖セバスティアーノの殉教の場面が描かれ、切妻屋根の下にはキリストの聖顔彫刻が見えます。扉口は三カ所あり、中心部分の片蓋柱の下層部には細やかな浮彫が施されています。

 

 扉口上の丸窓は均整の取れた大きさです。

 

 内部はラテン十字の三廊式でイオニア式の柱頭飾りのある円柱が身廊の蒲鉾型屋根と側廊の穹窿式屋根を支えています。

 

 中央主祭壇にはキリストの磔刑像が置かれ、アプシスにはオルガンがあります。

 側壁に聖アゴスティノ・聖セバスティアーノのフレスコ画が見えます。

 

 青色の装飾模様はトルニエッリの作です。両脇には三カ所の礼拝所が並んでいます。

 

 右側廊の最初の礼拝所にはオロパ (Oropa)の聖母子像が置かれています。

 

オロパ (Oropa)の聖母子像 : Oropa  Basilica Antica (旧聖堂)を参照ください。

 

 正面奥の祭壇には聖母被昇天画が飾られています。

 

 八角形のドームの四隅には四大福音書記者とその表象が描かれ、上に16名の聖職者が並び、頂点には八体の天使が描かれています。

 

 左側廊の三番目の礼拝所にはカルガリオの丘のキリスト磔刑のフレスコ画があります。

 

 左側廊奥の祭壇には聖セバスティアーノの彫像が置かれています。

 なお、左翼廊正面には受胎告知のフレスコ画があります。

 

  

 修道院部分はナポレオンの占領時代に廃止され、兵舎として使用されたために、荒廃しています。現在は博物館となっています。

 

 なお、アゴスティーノ・デ・ファンゴ通り (Via Agostino Fango)の先の、聖セバスティアーノ通り (Coata San Sebastiano)を進んでいくと急坂になり、登りきったところに、上の町の聖ジャコモ聖堂 (San Giacomo)があります。

7. Chiesa di Sant'Anna 聖アンナ聖堂

 

 市営のケーブルカーで上の町に到着して、すぐ右手に見える17世紀に建設されたバロック様式の小さな聖堂です。正面は1782年に改修されています。

 

 聖アンナ信者会はピアチェンツア (Piacenza)で設立されています。

 

 聖堂内には「聖母子・聖ジョゼッペ・聖洗礼者ヨハネ」、「パドヴァの聖アントニオ」などの絵画があります。内陣は1679年の造成です。

 

8. Chiesa della Santissima Trinità 聖三位一体聖堂

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 ドゥオーモ前の広場から左手に回り、洗礼堂 (Battistero)を過ぎて、イタリア通り (Via Italia)に出ると右手にあります。ドゥオーモの裏手に当たります。

 

 1626年にバロック様式で建設され、右手には鐘楼が見えます。正面は20世紀の改修です。

 

 内陣は17世紀後半に作成され、中央主祭壇には聖母戴冠が飾られています。

 

 そのほかにも木造彫像が飾られています。

 

 

 

 

内部の写真はこちら↓でご覧になれます。

https://www.cittaecattedrali.it/en/bces/351-chiesa-della-ss-trinita