ノヴァーラ Novara
ノヴァーラは、ピエモンテ州ノヴァーラ県の県都で、ピエモンテ州ではトリノに次ぐ2番目の人口を擁する。
【アクセス】
ミラノのマルペンサ空港から直通のバスが出ています。約1時間で到着しますが、ミラノに行くバスと違って本数は非常に少ないので、航空機の到着時間との接続を確認する必要があります。
ミラノまでバスで出て、ミラノからトリノ方面行の電車を利用するのが順当な訪問方法でしょう。電車では40分ほどで到着します。
空港からの直通バスはノヴァーラの駅前に止まります。駅は街の北東に位置しています。
なお、マルペンサ空港からの直通バスは途中オレッジョ(Oleggio)の町を通過します。聖堂も数か所あり、歴史のある町ですから、途中下車して街を散策するのも良いと思います。
【歴史】
中世以前の街道は、北方からイタリアに入る街道と、フランスからイタリアに入る街道がヴェルチェリ(Vercelli)で交差することから、ヴェルチェリは交通の要所として発展してきました。ノヴァーラも同様に、ミラノとヴェルチェリとの中間に位置することから、中継地点として発展してきています。
このように、重要な交通路に位置していたことから街を巡って紛争が絶えませんでした。
街はローマ帝政時代から建設されていましたが、386年にはローマ帝国のマクシマス(Maximus)皇帝により破壊され、その後テオドシウス(Theodosius)1世皇帝により再建されています。452年には再びフン族のアッティラ(Attila)より略奪されています。
その後自由都市として繁栄した時期もありましたが、1110年にヘンリー5世により破壊され、1167年にロンバルド連合の一員となりますが、ミラノ公の配下となり、ヴィスコンティ(Visconti)家、スフォルツア(Sforza)家の支配下に入ります。
18世紀以降もサヴォイア家、ハプスブルグ家、などの支配を受けてきました。
【街を歩く】
城塞都市で、壁内は歴史地区となっています。城壁は変形六角形をしていますが、城塞都市には珍しく、通りは整理されており、旧市街の道路は東西南北に升目状に通っていますので、目的地に行くのはそれほど不便ではありません。
街の中心部にはブロレット(Broletto)と呼ばれる建築群があります。13世紀から15世紀ころに建築されたポデスタ家(Palazzo del Podesta)、パラティーチ家(Palazzo dei Palatici)などの建屋が周りを囲み、現在では裁判所となった旧市庁舎や美術館があります。
小さな街ですからすべて目的地には徒歩で行くことができます。落ち着いた清潔な街です。
1. Duomo 大聖堂 (Santa Maria Assunta)
3. San Gaudenzio e Cupola Antonelliana 聖ガウデンツィオ聖堂
4. San Giovanni Decollato 聖ジョヴァンニ・デコラート聖堂
6. San Pietro al Rosario 聖ピエトロ・アル・ロザリオ聖堂
7. Sant'Agostino e Convitto Nationale Carlo Alberto 聖アゴスティノ聖堂
8. Nostra Signora del Carmine 聖母カルミネ聖堂
9. Santissima Trinità e Santa Maria al Monserrato 聖三位とサンタマリア・アルモンセラート聖堂
1. Duomo 大聖堂 (Santa Maria Assunta)
駅前広場から真っすぐに伸びる並木道を進むと五差路のカヴール広場 (Piazza Cavour)に出ます。ここから街一番の高い聖堂である聖ガウデンツィオ聖堂 (San Gaudenzio)が見えています。街のどこからも見えますので、この高い聖堂を目印として自分のいる場所を確認することができます。
カヴール広場からカヴール通り(Corso Cavour)を南下すると街の中心地を東西に走るイタリア通り(Corso Italia)に出ます。イタリア通りで左折して西に向かいジュゼッペ・プリナ通り(Via Giuseppe Prina)に左折するとイタリア通りと並行して東西に走るフラテッリ・ロッセッリ通り(Via Fratelli Rosselli)に突き当たります。左手に共和国広場 (Piazza della Repubblica)があり、広場に並行してドゥオーモがあります。
11世紀にローマ帝政時代のジュピター神殿の跡地に建設されました。ロマネスク様式で建設されましたが、1863年から従来の聖堂を解体しネオ・クラシック様式で再建されています。
外観上は非常に新しい聖堂です。鐘楼も11世紀のもので、黙示録からのフレスコ画が一部残っていますが、これはオットー朝の時代に描かれた珍しいものです。
聖堂内は三廊式で、太いコリント式の円柱が天井を支えています。16世紀に内部は改修されています。
身廊に立って両脇を見ると柱と柱の間にキリストの公生涯を表す大きな絵画が釣り下がっており、身廊と側廊との間を分けています。
ほかの聖堂では見られない光景が展開しています。
なお、側廊側には絵はありません。
中央主祭壇には天井からキリストの磔刑像が下げられていますが、主祭壇のキボリウムには聖職者の聖遺物が収納されており、ドームには聖母戴冠が描かれています。
両脇にオルガンガ設置され、内陣前の両脇に説教壇があります。
両脇の礼拝所には、14世紀に作成された聖母の礼拝所などがあり、
2. Battistero 洗礼堂
ドゥオーモの正面にある、ナルテックスの外側に位置する場所にあります。一直線上に並んでいることになります。
またこの洗礼堂の裏手が聖ジョヴァンニ・デコラート聖堂 (San Giovanni Decollato) の左側廊部分に当たります。聖ジョヴァンニ・デコラート聖堂の入口は北向きになっています。
赤煉瓦造りの八角形で、頂点に明り取りの尖塔があります。ローマ帝国時代の石材を利用して5世紀の初期キリスト教時代に建設されたもので、コリント式の柱頭飾りが見られます。
ノヴァーラでは最古の聖堂です
内部の中央に八角形の浸水式の洗礼盤が置かれています。ローマ帝政時代の石棺の一部が置かれています。
11世紀制作の黙示録からと15世紀の最後の審判の場面を描いたフレスコ画が残っています。
3. San Gaudenzio e Cupola Antonelliana 聖ガウデンツィオ聖堂
駅前から並木道のガリバルディ通り (Corso Giuseppe Garibaldi)からカヴール広場 (Piazza Cavour)に出ると、街一番の高さのある聖ガウデンツイア聖堂が見えてきます。
ガウデンツィオ・フェッラーリ通り (Via Gaudenzio Ferrari)に右折して西に向かうと聖堂の後陣に出、通りに沿って18世紀のアルフィエリ(Benedetto Alfieri)作の高い鐘楼があります。
聖堂は1577年から1659年まで80年の歳月をかけて建設されました。
赤煉瓦造りの聖堂ですが、ラテン十字形の中央の交差部分に載る、19世紀半ばのアントネッリ(Alessandro Anttonelli)作の幾層にも重なる円筒形の塔は、高い鐘楼よりさらに高く、尖塔の上にはキリストの像が載っています。
ほかの聖堂では見られないほどの高さです。
聖堂内には街の守護聖人の聖ガウデンツィオの聖遺骨が祀られています。
4. San Giovanni Decollato 聖ジョヴァンニ・デコラート聖堂
街を東西に走る中心街のイタリア通り (Corso Italia)の南に側に並行しているフラテッリ・ロッセッリ通り (Via Fratelli Rosselli)を西に進み、ドゥオーモを過ぎて、ジャコモ・プッチーニ通り (Via Giacomo Puccini)に左折するとすぐ左側に見えてきます。
聖ジョヴァンニ・デコラート聖堂の正面の左側面の壁の奥に洗礼堂 (Battistero)の屋根が見えています。
カルロ・エマニュエレ3世の石像が建つ広場に面しています。
1635年に建設が始められています。正面は二層に分かれ上に切妻屋根が載り、中央に洗礼者ヨハネの立像があります。
入口は一か所で、両脇にはイオニア式の柱頭飾りのある円柱があり、二層目の左手の壁龕に聖ロッコ(San Rocco)の、右手には聖ルイージ(San Luigi)の石像があります。
聖堂内は三廊式で、中央祭壇奥は18世紀のロココ様式の淡い色彩で花綱や天使の彫刻が施されています。
天井には洗礼者ヨハネの生涯がフレスコ画で描かれています。
右側廊の2番目は洗礼者ヨハネの礼拝堂で17世紀に、左側廊の1番目はキリストの磔刑の礼拝堂、2番目は聖ルイージ・ゴンザーガ (Santa Luidi Gonzaga)の礼拝堂で18世紀のものです。
5. San Marco 聖マルコ聖堂
聖ガウデンツィオ聖堂 (San Gaudenzio e Cupola Antonelliana) の正面からサン・ガウデンツィオ通り (Via San Gaudenzio)を南下して最初の交差点をネグローニ通り (Via Negroni) に左折し、二本目のガウティエリ通り (Via dei Gautieri)との交差路にあります。
ドゥオーモからはフラテッリ・ロッセッリ通り(Via Fratelli Rosselli)を東に向かいアントニオ・ビアンキーニ通り(Via Antonio Bianchini) に左折し、イタリア通り(Corso Italia)を越えて、アヴォガドロ通り(Via degli Avogadro)に入ると正面突き当たりに見えてきます。
聖堂正面には入口が三か所あり、両脇の入口の上には、聖マルコと法王が、上層部には聖パオロと聖ヤコブの立像が壁龕の中に納められています。
聖堂内は三廊式です。
中央主祭壇には銀製の聖遺物容器が並び、キボリウムの中に聖マルコの立像が収められています。
両脇に礼拝堂が並び、天井には聖母戴冠などが描かれ、入口の上にはオルガンが置かれています。
小さい聖堂ですが、矩形の大理石の柱の上には金色に輝くアーカンサの柱頭飾りが置かれており、荘厳な印象を与える造りになっています。
6. San Pietro al Rosario 聖ピエトロ・アル・ロザリオ聖堂
駅前から続くガリバルディ通り (Corso Giuseppe Garibaldi)の並木道を進み、カヴール広場 (Piazza Cavour)に出て、カヴール通り (Corso Cavour)を南下し、繁華街のイタリア通り (Corso Italia)を過ぎ、マッテ・オッティ広場 (Piazza Matteotti)を過ぎて、トリニエッリ通り (Via dei Tornielli)との交差点がアントニオ・グラムシ広場 (Piazza Antonio Gramsci)です。この広場の左手にあります。
11世紀に最初の聖堂が建設され、12世紀に再建され、13世紀にはドメニコ派の殉教者の聖ピエトロに奉献しなおされています。16世紀にはカルロ5世が街を城塞化する際に破壊され、17世紀に復活しますが19世紀にはナポレオンにより閉鎖されるなど、多彩な歴史を持っています。
聖堂の正面は二層になっており、切妻屋根の下に聖母像があり、下層部の左手に聖ピエトロと右手に聖ピオ5世法王、上層部の左手に殉教者の聖ピエトロと聖アミコの立像が壁龕に置かれています。
聖堂内は三廊式です。
中央祭壇の奥天井には殉教者聖ピエトロの生涯が描かれています。右手にオルガンが設置されています。